15.3. 生命の起源
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生物発生パラドックスの解決
古代ギリシャ人の時代から1800年代になっても一般に信じられていた
たとえばハエが腐った肉から、魚は海の泥から生じると思っていた 「生命からの生命」の原則
生命が常にすでに存在する生命に起因するならば、どのように最初の生物が誕生することができたのか
生物の自然発生は、初期地球の歴史では起きたかもしれない
たとえば、現在の大気中の酸素は、化学結合をこわす酸化剤であり、複雑な分子の合成をさまたげるが、この酸素は古代の大気には存在していなかった 稲妻、火山活動や日光の紫外線のようなエネルギー源はすべて、初期の地球では現在よりも激しかった
多くの生物学者は現在、地球の原始環境における化学的、物理的プロセスにより、一連の段階を通じて非常に単純な細胞がつくられたと考えている
生命の起源の4段解説
ある生命の起源の仮説によると、生命体は4段階の化学進化により生まれた 3. これらの分子すべてが、内部の化学環境を周囲とは異なった状態に保つ膜をもつ小滴である前細胞に包み込まれる これが科学的に有効な仮説になるには、実験室で検証可能な予測を導くこと
ステージ1. 小さな有機物分子の非生物的な合成
この段階は、最初に実験室で精力的に研究された
ステージ2. 高分子の非生物的な合成
研究者は、熱い砂や粘土、岩の上に有機物単量体の水溶液を垂らすことによって、そのような重合を行った
熱により水溶液中の水は蒸発して、単量体が基盤物質上に濃縮する
それから単量体のいくらかは自律的に結合して重合体を形成する
初期の地球で、雨滴や波により、新しい溶岩などの熱い岩上に有機物単量体の希薄溶液がかかり、それから生じたポリペプチドなどの重合体を海へ洗い流した可能性がある このようにして生体高分子が海中に大量に蓄積した(消費する生物が存在しないため)
ステージ3. 前細胞の形成
4段解説によると、生命の起源の鍵となる段階は、非生物的に作られた分子集団の膜内への隔離
これらの分子の集合体は前細胞とよばれ、本物の細胞ではないが、生命の特性のいくつかをもつ分子の一団 限られた空間内において分子が濃縮されているため、特定の分子の組み合わせが、より効率的に相互作用する
さらに、前細胞の内部環境は、まわりの環境と異なる事が可能
実験室で作られた前細胞は、ある生物的特性を示す
選択的透過性を示す表面を持ち、環境中から分子を吸収して成長することができる また、異なる塩濃度の溶液中に置かれると、膨らんだり、縮んだりする
ステージ4. 自己複製分子の起源
情報伝達のこの仕組は、おそらく非常に単純なプロセスからの一連の小さな変更によって徐々につくられていったのであろう
1つの仮説では、最初の遺伝子は、タンパク質の補助なしで自己複製した短いRNA 実験によると、短いRNA分子は、酵素がない場合でも、ヌクレオチド単量体から自律的につくられることがある https://gyazo.com/736d2c7906181bdf11f3efa0edcdb97f
その結果、単量体のランダムな配列をもつRNA分子集団ができる
これらの分子のいくつかは自己複製するが、この複製物は変異する すなわち、最も早く複製するRNAの種類が、集団中での頻度を増す
実験的な証拠に加えて、原子世界でのRNA遺伝子がもっともらしいというもう1つの理由がある
細胞内は実際に酵素としての働きをするRNAがある
おそらく初期のリボザイムは、自分自身の複製に触媒作用を及ぼしたであろう また、酵素と遺伝子のどちらが最初にできたかという「鶏と卵」のパラドックスを解決する
おそらく「鶏と卵」は同一のRNA分子の中にいっしょにできたのであろう
現代の分子生物学の原則は、古代の「RNAワールド」の後で出現したものだろう 化学進化からダーウィン進化へ
自己複製するRNA(そして、後にはDNA)をもつ前細胞が初期地球で生じたならば、それらは自然選択によって改良されていくであろう 遺伝子の複製時のエラーである突然変異により、前細胞間で変異が生じる そして、これらの前細胞で最も成功したものは、成長して分裂して、進化し続ける
もちろん、そのような前細胞は、現在のもっとも単純な細胞と比べても、そのギャップは巨大
しかし、数億年の自然選択を通じて生じた累積的な変化により、これらの分子共同体は、ますます細胞のようになっていく
どの時点で前細胞ではなく、生命を持つ細胞というかは、どのように生命が起源したかに対する理解と同じくらいあいまい
しかし、原核生物は少なくとも35億年前すでに繁栄していて、生命のすべての枝は、それらの古代の原核生物に由来することがわかっている